人生において、何を優先事項の上位におくのかで、マイホームの選び方は変わってきます。
さらには、世の中や社会情勢、年齢や家族構成などの変化によって、優先事項は変化し、それに伴って住環境も変化させたほうがいい場合もあります。
会社員であれば、自分の意向とは関係のない転勤なども考えられます。
独身の人、転勤がある人、いろいろなことに挑戦したい人などにとっては、何かあったときに身軽に動けるよう、持ち家ではなく賃貸物件のほうがいいかもしれません。
人生の見通しが不透明な若いうちに、戸建てのマイホームを持ってしまうことは、少しリスクが高いように思います。
しかし、終の住み家としてなら、戸建てのマイホームも悪くないように、私は思います。
今回は、戸建てのマイホームは建てるべきか、そして建てるとしたら、どのようなタイミングがいいのかについて、私なりの考えをシェアしてみようと思います。
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リモートワークが進んでも…
2020年以降、仕事がリモートワークになったという人も多いかもしれません。
通勤が不要になれば、普通の人の場合、家賃や物価の高い、都市部の狭い集合住宅に住み続ける理由も薄れてきます。
昨今では、自宅に書斎や仕事部屋が欲しいと思っている人も多いかもしれません。
しかし、だからといって、今後、家族構成や生活スタイルが変化する可能性があるのであれば、戸建てのマイホームを持つのは、少し早いかもしれません。
早まってマイホームを持ってしまったことが足かせとなり、新たなチャレンジができないというのでは、人生の可能性を大いに狭めてしまいます。
働き方が自由になれば、もはや日本国内に住む必要もなくなるかもしれません。
これまでの価値観では、家賃を払うのがもったいないという理由で、早いうちにマイホームを建ててしまったほうが得なように思われていました。
しかし、平均寿命が伸び続け、人生100年時代と言われる昨今、よく考えると、早いうちに建てたマイホームに、一生、住み続けられるのかといえば疑問です。
仮に30歳でマイホームを建てたとして、100歳までの70年間をその家で住むには、少々、長過ぎる気がします。
長期間、同じ住宅に住み続けるためには、何度かリフォームや修繕などの、メンテナンスも必要になるでしょう。
また、数十年の間には、社会情勢や仕事、家族構成は大きく変わります。
20代〜50代の30年間と、50代〜80年の30年間で、それぞれ戸建て住宅や分譲マンションを持ったとしても、30年前後ずつ住むことになります。
30年といえば、けっして短い期間ではなく、建物の老朽化は避けられません。
戸建ては最後がいい
私は、戸建てのマイホームを建てるのなら、人生や寿命を逆算して、ある程度は、その場所に定住するつもりで、最後の最後に建てるのがいいのではないかと考えています。
引っ越しや、家族構成が変化する可能性が高いのなら、戸建てを建てるのではなく、賃貸のアパートやマンション、分譲マンションなどのほうが身軽に動けます。
戸建て住宅ではなく、分譲マンションを買った場合、立地が良く、人気の物件であれば、貸したり売ったりしやすいので、いざというとき困りません。
住宅市場の動向によっては、購入時とほとんど変わらない価格で売却できたり、購入時よりも高く売却できる可能性すらあります。
引っ越しや売却の可能性があるのなら、戸建てよりもアパートやマンションを選んでおいたほうが、確実に後悔が少ないと思います。
そして、例えば、子供が独立して夫婦2人だけになったときなどに、それまで住んだマンションを売却して、終の棲家として、郊外に小さな戸建てを建てるという選択も考えられます。
昨今の長寿社会においては、子供が大きくなったあとの人生も、けっこう長いので、そこから戸建住宅を建てても、十分に長く住むことになります。
逆に、戸建て住宅で子育てをしてから、その後に便利な都市部のマンションで暮らしたいというパターンもあるかもしれません。
そのこと自体はよいのですが、長年に渡って住んだ戸建住宅が、希望する価格で売れるかといえば、それは難しいと思います。
空き家にするわけにもいかないと思いますので、場合によっては、解体費用も用意する必要があるかもしれません。
更地にして高値で売却できるような、立地の良い場所なら問題ないと思いますので、土地だけは、長い目で見て慎重に選ぶ必要がありそうです。
もしも、古くなった建物を土地と一緒に子供に相続させる場合、解体費用も用意しておくと、相続する子供としては嬉しいかもしれません。
できることなら、負債を子供や孫に残したくないものです。
ただ、いざというときに、タダで住める家があるというのは、ちょっとした安心感につながります。
そのような家があれば、最悪、失敗したら田舎に帰ればいいか、というような気持ちで、思い切って、大きなことに挑戦することもできるかもしれません。
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耐久年数は20〜30年?
新築の戸建住宅でもマンションでも、築年数が20〜30年も建ってくると、住めなくなるわけではありませんが、リフォームや修繕、場合によっては、建て替えが必要になってきます。
寿命が長くなれば、若いうちに戸建住宅を建てたり、マンションを買っても、そのままで一生、住めるわけではないのです。
普通に考えて、築30年の家やマンションに、その先も数十年間、住みたいとは思えないと思います。
理想は、ライフステージを前半と後半、もしくは前半、中盤、後半など、いくつかに分けて、そのときどきにマッチした、最善な住宅選びができると、より快適に生活することができそうです。
そして、20〜30年も経てば、時代は大きく変わり、建築基準や住宅設備も大きく変わってきます。
たとえば、10年前に太陽光発電のソーラーパネルを載せた住宅を建てた人は多いかもしれませんが、蓄電池まで導入した人は少ないと思います。
しかし、これを書いている2023年では、ソーラーパネルと蓄電池を設置して、それを HEMS(Home Energy Management System)で一元管理するシステムを導入するのは、それほど難しいことではありません。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略です。
家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムです。
家電や電気設備とつないで、電気やガスなどの使用量をモニター画面などで「見える化」したり、家電機器を「自動制御」したりします。
政府は 2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目指しています。出典:panasonic スマートHEMS
2030年代には、このような住宅が当たり前になり、そして、さらに快適になっていくと思います。
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少なくとも、20才〜50才、50才〜80才というように、人生の前半と後半の2ステージに分けて、マイホームを考えたほうが、人生の後半戦は快適に暮らせそうです。
変化が激しく、比較的収入の少ない前半戦から、長期で高額の住宅ローンを組んで人生の選択肢を狭めるより、前半戦は、後半戦に向けて資産形成をして、快適な住環境で不安のない老後を遅れるように備えたいものです。
金利の動向によっては、仮に住宅ローンを組んだとしても、いつでも一括返済できるくらいの金融資産を蓄えることができれば、安心して負債になりかねない住宅を建てることができます。
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人生の前半は変化が激しい
仮にライフステージを2つに分けた場合、前半のステージは、基本的には、育児や教育、仕事や通勤を中心に考えることになります。
フリーランスやリモートワークが可能な職種であれば、どこでも住めそうですが、出勤が前提の会社員の場合は、職場に通勤できるエリアに住むことになるでしょう。
たとえば、育児は、自然豊かなところで行いたいと思っても、職場に通勤できるエリアを優先させざるをえないのが辛いところです。
リアル店舗で商売を行う場合も、人がいないところでは商売になりませんので、店舗を起点として、住居エリアを考えざるをえません。
また、仕事や通勤の問題がクリアになったとしても、子供の学校(通学)や塾の問題も、まだまだ重要な判断基準になってくるでしょう。
リモート学習も含めて、教育のあり方も大きく変化していくと思いますが、それでも、まだまだ多くの親にとって、子供の学校問題は重要です。
子供を通わせたい学校に合わせて、引っ越しをする親も少なくないかもしれません。
しかし、子供が学校を卒業してしまうと、その場所に住み続ける理由は少なくなります。
そして、人生100年時代、そこから先の人生も、けっこう長いのです。
まとめ
人それぞれ、価値観やライフスタイル、仕事や家族構成が違うので、なにが正解なのかは異なります。
一生、賃貸物件に住むほうがいい人もいるかもしれません。
定期的に、新しい土地、新しい物件に引っ越して、不要なものをデトックスしながら暮らすのも悪くないようにも思います。
長く住み続けると、どうしても家の中に、モノが増えてしまいます。
それらを整理するには、強制力が働く引っ越しが、いちばん効果的です。
昔のように、結婚して子供ができたら、郊外に戸建てのマイホームを35年ローンで建てて…みたいな、お決まりのパターンは崩れつつあります。
個人的には、人生の前半戦は、後半戦に備えて、稼ぐ力を身に着けたり、資産形成を中心に考えるべき期間だと考えます。
そして、後半戦は、少しペースダウンをして、快適な住環境で好きなことをして過ごすことができれば、穏やかな最後を迎えることができるのではないかと思います。
生涯に渡って、パワフルに駆け抜ける人生を送りたい、という人もいるとは思いますが、少なくとも私は、エコで快適な住環境で、ペットや孫の世話をしたり、趣味を楽しんだりして、のんびりとした晩年を過ごしたいと考えています。
たとえ、その家が資産ではなく負債だとしても、満足のいく晩年を送れれば、それで十分だと思います。
それを実現するためには、40〜50年代は踏ん張りどころかもしれません。
いろいろと書きましたが、最後に少しまとめてみます。
・仕事や家族構成の変化に合わせて2〜3回は住環境を見直す必要がある
・若いうちに戸建てマイホームを建てるのはリスクが大きい
・変化が少なくなる中年以降に戸建て住宅を建てても遅くはない
・売却も視野に入れて土地やマンションの立地を決める
理想の住環境での快適な暮らしを目指して、これからも挑戦と発信を続けていきますので、よかったら今後ともお付き合いをお願いします。
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*このページで使用している画像やイラストは、私が素晴らしいと感じたビルダー、オネスティーハウス石田屋さんのサイトより転用させていただいています。
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